こんにちは、川畑です。
今回は、
「誰にでもできる在庫回転率の計算方法と適正値について」
というテーマでお話していきます。
物販を行っている企業では「在庫回転率」をしっかりと把握して適切な経営戦略を取っていますが、個人で物販を行っている方は「在庫回転率」を意識しているという方は少ないのではないでしょうか。
在庫回転率と聞くと
- 専門的な知識が求められそう
- 高度な計算方法が必要なのでは
- 個人だと仕入れる商品が少ないから必要ないのでは
など、上記のようなことを考える方もいると思います。
しかし、在庫回転率は販売規模の大小に関わらず非常に重要な指標になります。
なぜなら、在庫回転率を求めることができれば、一定期間の間にどれだけの商品を仕入れたら良いのかといった根拠を数値として算出することができるからです。
「この商品はたぶんこれくらい売れるんじゃないかな〜」
といって目分量的に仕入れるのと、
「この商品の在庫回転率は◯◯で、1ヶ月で◯◯個売れる見込みがある!だから◯◯個仕入れよう。」
だったら、誰の目から見ても後者のほうが成功する見込みが高いです。
そして、その在庫回転率は誰でも求められるほど簡単なものになります。
当記事では、在庫回転率について徹底的に紹介していきます。


それでは早速始めていきましょう!
目次
1.在庫回転率とは?


在庫回転率とは、一言で言うと商品の「一定期間内(1年間)の仕入れから販売までの過程の速さを示す」指標です。
「商品の仕入れ」~「販売」までを1回転として「在庫回転率は5回転」というような言い方をします。
計算方法は後述しますが、例えば1年間で5回転した商品がある場合、約73日に1個のペースで売れているという計算をすることができます。
一般的に在庫回転率が高いほど、効率良く商品を販売していることになり、良く売れる商品を揃えていることになります。
逆に在庫回転率が低い場合は、売れない商品を多く抱えているという意味になり、仕入れた商品の返品や処分を行わないといけません。
3-1.在庫回転率の重要性
物販を行う上で重要な販売状況(売れる数)と「抱えている在庫数」のバランス調整や在庫として抱えている(倉庫に置いている期間)期間の長さなど様々な情報が知ることができます。
そのため、物販を行う規模に関係なく在庫回転率を正確に知ることで、自社の経営状況を把握することが可能です。
他にも、商品のジャンルごとに在庫回転率を計算することで、自社が販売しやすい商品ジャンルを発見できる可能性もあります。
特にECサイト(ネットショップ)では、顔が見えないお客様と取引を行うので、利用客の年齢層などの把握が難しいことが多いです。
しかし、在庫回転率を計算して売れている商品ジャンルを把握することで利用客の層も分析することができます。
在庫回転率は、在庫の流れだけを確認する指標ではなく使い方次第では、様々な情報を得ることが可能です。
在庫回転率の把握は、物販業務を成功に導くためには必要不可欠な指標になります。
2.在庫回転率を把握することの3つのメリット


在庫回転率を把握することは、自分が抱えている在庫が売れやすい商品か否かを把握するために重要な指数になります。
そのため、経営者にとって在庫回転率を把握することは利益を上げるためには重要なことです。
また、可能であれば毎日確認しておくことで、日々の売り上げ推移を確認でき1日単位の細かい動きを把握することができます。
毎日確認することが難しい場合は、最低でも月に1回は在庫回転率を把握することが大切です。
在庫回転率を把握しておくことで
- 現在抱えている在庫数を把握できる
- 売れている・売れていない商品を把握できる
- 仕入れ数の基準を決めることができる
上記のようなメリットがあります。1つずつ紹介します。
2-1.現在抱えている在庫数を把握できる
在庫回転率を計算して把握することで、自社が抱えている商品在庫を全て数値化することができます。
数値化することで、
「仕入れと販売のバランスが悪い」
「販売数が少ないから資金の動きが悪い」
など、現在の経営状況までも明確に把握することが可能です。
自社倉庫内の在庫数を正確に把握することで、無駄な仕入れをして在庫処分などのリスクも減らすこともできます。
2-2.売れている・売れていない商品を把握できる


在庫回転率を計算して数値化することで、「一定の商品だけが良く回転(売れている)している」というデーターも取得できるはずです。
つまり、売れやすい商品と売れにくい商品を把握することができます。
また、ただ単に自社内の在庫回転率を求めるだけではなく、商品ジャンル別に在庫回転率を求めることで「売れ筋商品」をしっかりと把握でき利用客が求めている商品を提供することが可能になります。
在庫回転率の数値が高いと「商品が良く売れている」という意味になると前述しました。
なので、極端な話ですが、在庫回転率が低い商品を省いて、在庫回転率が高い商品だけを仕入れるだけでも経営状態は良くなります。
2-3.仕入れ数の基準を決めることができる
在庫回転率を計算することで、売れ筋商品に順位を付けることができます。
そのため、仕入先の状況が変わってしまった場合やイレギュラーなことが起きて1番仕入れたい商品がない場合、間に合わせとして2番目、3番目の商品を回転率に応じて仕入れることが可能です。
他にも、年間の在庫回転率を把握することで、1年間の在庫仕入れ数の数や予算を予め決定しておくこともできます。
年間の予算や仕入れ数などに自社独自の基準を決めることで、行き当たりバッタリの経営戦略ではなく先を見据えた安定した経営戦略を思案することが可能です。
3.在庫計算式の求め方(計算方法)


在庫回転率の計算方法は、
- 出庫売上(年間売上) ÷ 棚卸資産(在庫金額) = 在庫回転率
上記の計算方法で在庫回転率を求めることができます。
棚卸資産とは、現在保有している在庫を金額に換算したものです。
棚卸資産の計算方法は
- (期首在庫 + 期末在庫) ÷ 2 = 棚卸資産(在庫金額)
上記の計算で棚卸資産を求めることが可能です。
文字だけではわかりにくいので、以下の表を参考に計算をしてみます。
サンプル会社 | |
期末在庫高 | 500万円 |
期首在庫高 | 600万円 |
年間売上高 | 4000万円 |
まずは、棚卸資産を計算する必要があるので
- (500(期末在庫) + 600(期首在庫)) ÷ 2 = 550万円(棚卸資産)
上記のデーターを基に計算をして棚卸資産は550万円とわかりました。次に、在庫回転率を求めるために
- 4000(年間売上高) ÷ 550(棚卸資産) = 7.27回転(在庫回転率)
サンプル会社の在庫は1年間で約7回在庫が回転しているといえます。
3-1.在庫回転期間
在庫回転率と非常に似た指標の1つに「在庫回転期間」というものがあります。
在庫回転率は、保有している在庫がどのくらいのペースで売れているのかを把握する指標になりますが、在庫回転期間は売り上げに対して、在庫を何ヶ月分(もしくは何日分)持っているのか把握する指標です。
つまり、現在所有している在庫をすべて販売できるまでの期間を把握する指標になります。
在庫回転期間の計算方法
在庫回転期間の計算方法は
- 棚卸資産 ÷ (年間売上高 ÷ 日数または月数) = 在庫回転期間
上記の計算方法で求めます。
先程、在庫回転率で使用した「サンプル会社」のデーターを使用して計算してみます。
年間売上高が4000万円で棚卸資産が550万円のサンプル会社だと在庫回転期間は
- 日数/550 ÷ (4000 ÷ 365) = 18.6875/日
- 月数/550 ÷ (4000 ÷12) = 1.65/月
上記の場合だと、小数点以下を四捨五入をして「日数でみると約19日分」、「月でみると約2ヵ月分」の在庫を保有しているということになります。
3-2.在庫数量で計算すると、より実態を把握しやすい
在庫回転率は金額で計算をするのが一般的です。しかし、金額には維持費を含めた管理費用など回転率を求めるには邪魔な要素がたくさんあります。
そのため、金額から求めた在庫回転率は、経営改善などにはあまり役に立たない可能性が高いです。
経営状況の実態を把握するためには、抱えている在庫数を数えて、在庫回転率を求め出した数値が実態を把握しやすくなります。
在庫数から在庫回転率を求める計算方法
在庫数から在庫回転率を求める場合は、前述した計算方法ではできません。
在庫数から求める手順は 、
- 「調査する期間」の決定
- 調査開始時の在庫数の確認
- 調査完了時の在庫数の確認
上記をデータを集計した後に、平均在庫数を計算する必要があるので
出庫数 ÷ ((調査開始時の在庫数 + 調査完了時の在庫数) ÷ 2) = 平均在庫数
上記の計算方法で平均在庫数を求めた後に、在庫回転率の計算を行います。
在庫数から在庫回転率を求める計算方法は
- 期間中の在庫数 ÷ 期間中の平均在庫数 = 在庫回転率
上記の計算方法で求めることができます。
文字だけでは少し分かりづらいと思うので、「サンプル会社」のデータを基に計算例を作成してみました。
計算例
今回、サンプル会社のデータは
- 調査期間は1ヶ月
- 1ヶ月を30日として計算
上記のような概要で簡単に作成しました。
日付 | 入庫数 | 出庫数 | 在庫数 |
調査開始時 | 120 | ||
9月1日 | 5 | 145 | |
~中略~ | |||
9月30日 | 110 | ||
合計 | 170 | 180 |
今回は計算方法の例を紹介したいため、中間の在庫状況は省略しました。
在庫数から在庫回転率を求める場合は、表の赤色の数値を使用します。
計算方法は
- 平均在庫数の計算
- 平均在庫数から在庫回転率の計算
上記の手順で計算を行います。
平均在庫数は、
「出庫数 ÷ ((調査開始時の在庫数 + 調査完了時の在庫数) ÷ 2) = 平均在庫数」なので、サンプル会社のデーターを基に在庫回転率を計算する場合は
- 180 ÷ ((120 + 110) ÷ 2) = 1.56回転
となります。
つまり、サンプル会社は1月で在庫が約2回転していることがわかります。
4.在庫回転率の適正とは?


在庫回転率は、業種ごとによって適正値が異なります。
例えばお寿司屋さんのような生鮮食品を商品として提供するような場合、提供できる期間が短いため在庫の入れ替えが頻繁におきます。
その場合、在庫回転率が高くなる傾向になるので、製造業や小売業などに業種によって在庫回転率の適正値は異なります。
ですが、在庫回転率の適正基準と呼ばれる参考値があります。
中小企業の適正水準目安 | |
24回以上 | 高水準。約2週間に1回転している計算になるので効率良く売り上げを得ている |
12~23回以上 | 標準的な水準です。12回転であれば月に1回転している計算になるので、改善の余地はあるものの問題はない範囲 |
6~11回以上 | 要改善。在庫回転率が6回の場合だと2ヶ月に1回転していることになる。在庫管理の見直しなどが必要。 |
5回以下 | 危険。在庫回転率が5回転以下の場合は、売れ残りの在庫を抱えている可能性が高い。不良在庫を抱えるリスクも高いため早急に改善しないといけない |
在庫回転率が高ければ高いほど良いですが、個人事業主の場合は上記表より回転率が低くとも焦る必要はありません。
上記表は中小企業の目安なので、個人で「せどり」などの物販を行っている場合は、資金力も規模も違うため、上記表の半分以下でも問題ないといえます。
4-1.在庫回転率の適正水準には例外もあるので注意
在庫回転率の適正値を判断する場合は、上記表とは違い例外もあるので注意が必要です。
例えば、
「年に数回だけ大量に輸入する商品」
「年に1回しか製造できない商品を扱う会社の場合」
は、必然的に在庫回転率が低くなります。
このような会社の場合は、通常の企業より保管費用が多めに掛かるため、保管費用分も売価に反映させない利益率が悪化します。
そのため、通常企業と比較すると「在庫回転率が低く」、「売価はやや高め」という傾向になるので注意が必要です。
また、在庫回転率は高ければ高いほど経営は順調だといえますが、在庫回転率ばかりを追い求めても得策だとはいえません。
在庫回転率を追い求める余り、商品欠品(在庫不足)などの機会損失を招くリスクも考えられるので、「中小企業では12~24回転」、「個人事業主の場合は6回転~12回転」程度で回転率を調整するのが良いでしょう。
5.まとめ


今回は、
「誰にでもできる在庫回転率の計算方法と適正値について」
というテーマでお話させていただきました。
今回の要点をまとめると
- 在庫回転率は「一定期間内(1年間)の仕入れから販売までの過程の速さを示す」指標である
- 在庫回転率は、自社の経営状況を把握することが可能なため重要な指標になる
- 金額で計算する方法が一般的だが、在庫数で求めることで、より実態を把握できる
- 在庫回転率は業種によって回転率の適正数値は異なる
上記4つです。
在庫回転率は、経営状況を把握するためには欠かせない指標になります。
「同じ商品を取り扱っている競合会社」や「自社の過去データ」と比較しながら、適切な資金の使い方を導き出すことができます。
そして、この考え方は、個人(ましてや副業)でせどりや転売をしている場合でも応用することができます。
在庫回転率を知って、適切な仕入れ量を知ることによって、利益を最大化することができるからです。
売れる商品を見つけることができて、適切な在庫回転率を求めることができれば、もはやせどりで失敗するほうが難しいと言って良いでしょう。
※せどりで売れる商品の見つけ方については、以下記事が参考になります。
せどりで売れるものを見つけるために知るべきたった1つの考え方
是非とも今回の記事を参考にしてもらって、適切な在庫回転率を求めて、せどり・転売で利益を上げて言ってもらえたらと思います。
それでは今回はここまでになります。
ありがとうございました!